ファショコン通信

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Yasutoshi Ezumi 2014-2015 A/W ショーレポート


日時: 3月21日(金)16:00~
会場: 渋谷ヒカリエ9F ヒカリエホールA
今季のテーマは「designare」。

‘designare’ デザインの語源は"計画を記号に表す"という意味のラテン語 designare である。

あるデザインの定義には、
‘素材をアレンジし、ある特定の目的に対するベストな用途を完遂する計画’
需要と供給の関係性、そしてデザイン、大量生産についてのリサーチを行っていくうえで今季のインスピレーションとなったのはイームズ(Charles & Ray Eames)がデザインしたイームズハウスである。
ケーススタディハウス#8 イームズハウス
一品生産という建築が主流の当時この建築デザインが画期的だったのは、建築資材のすべてを大量生産されていた既製品、在庫品のみを使用し、それらを組み合わせ、建築デザインを構成した「オフ・ザ・シェルフ方式」
2.25×6メートルのモジュールを基本とし、骨組みに鉄骨を使用したこの家は、モダンアート的な色彩で彩られた外観と、ミニマリズム に徹したシンプルな室内を持っていた。
住宅を構成するほぼすべてのパーツにありふれた規格品の工業用部材を使用しながらも、個性的で魅力あるユーモアな空間を創り出す事に成功している。
既製品の時代に生きる新たなクラフトマンシップを感じる、この建築デザインにインスパイアされた今季のデザインは、
現代にある服のパーツや既存的な形を組み替える、組み合わせることによって、新たなファッションの目的として、服の用途をデザイン、そして計画したものである。

上記のテーマを反映し、前後同じパターンで構成されているために前後どちら向きにも着られ、製作上も半分のパターン数で済むので大量生産に適しているということをユーモラスに表現したアイテム、「イームズチェック」と名付けたジャカードのチェック柄が施されたニット、後ろ見頃部分に前立てとボタンが施されたアイテム、レッドキャメルのニットの裾部分からブラックとホワイトの格子柄のカットソーが覗いているように見えるアイテム、プリーツスカートの半身を継ぎ合わせたり、トレンチコートのガンフラップやライダースの前合わせを施したアイテム等、様々な異素材・異なる柄・プリーツ等のパーツを複数接ぎ合わせることで1つのアイテムが作り上げられていた。
また、イームズハウスに用いられていた色彩を、デザイナー自ら 1.モノトーン 2.レッドキャメル 3.グリーンブルーと大きく3つの色合いで見出し、それぞれのアイテムに適宜配置するという手法が用いられていた。これは、前季と同様の手法である(参考:Yasutoshi Ezumi 2014 S/S ショーレポート)。
さらに、ランウェイ上に配置されていたオブジェも、既製品たるパーツを組み立てた「オフ・ザ・シェルフ方式」と同様の手法で作成されていたり、色彩毎に特定のBGMを決めてモデルが着用しているアイテムの色彩に合わせてそのBGMを流したりする等、ショー全体で「既存的な形を組み合わせる」というシーズンテーマを表現するように工夫されていた。
全体として、異なるパーツを組み合わせて1つのアイテムを作る、という、先人達が幾度となく挑戦してきた試みを、イームズを主たる軸としたシーズンテーマである「建築手法」というフィルタを通すことにより、よりコンセプチュアルに表現できるように昇華させられた、生産効率の高いコレクションであったと感じた。