ファショコン通信

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iliann loeb 2009 S/S 展示会レポート

日時: 10月21日(火)~ 10月24日(金)
会場: ライトボックススタジオ青山(LIGHT BOX STUDIO AOYAMA)
今季のイリアンローヴのテーマは「トレーディングポスト(TRADING POST)」。ネイティヴアメリカンが、儀式に使うカチナやバスケット、ジュエリーを作り手から買い取り、材料となるコットンウッドの根や顔料と交換した交易所であるトレーディングポストをイメージしたアイテムを揃えたのだそうだ。そのイメージを反映して、ディテールに羽根が用いられていたり、イエローやピンク等の鮮やかな色合いが増えていたりと、ネイティブアメリカン(即ちインディアン)や民芸品を思わせるアイテムが多い印象であった。(尚、会期中の会場はライトボックススタジオ青山であったが、筆者は上記の会期外の10月28日に、プレスルームにて商品を拝見した。)
例えば、1枚目写真の、レーヨン55%・ナイロン25%・リネン20%の混紡糸をベースに、光沢のあるコットン100%を組み合わせたジャカード柄のニットワンピースは、裾部分に掛けてインディアンラグのモチーフの柄が施されており、ベージュの色合いとゆったりとしたシルエットも相俟って、インディアンを連想させるアイテムに仕上がっていた。襟刳りと裾部分をリボンで絞れるようになっており、シルエットを変化させられるようになっているのが細かい配慮であると感じた。
2枚目写真の、シルク70%・リネン30%の混紡糸のカットソーは、超細番手のシルクの独特の光沢感とドレープ感とリネンの張り感の双方がバランス良く表現されており、胸にあしらわれた羽根のパーツと相俟って、無骨ながらもフェミニンな印象を醸し出すアイテムに仕上がっていた。また、脇部分から裾部分にかけて四角くパターンをとることで、シルクの生み出すドレープ感がより強調されるように工夫されていると感じた。洗濯時を考慮し、羽根のパーツが着脱可能になっているのも細かい。尚、同一の生地でワンピースもあったが、こちらもドレープ感と落ち感がさらに楽しめる作りになっていた(画像をみる)。
3枚目写真の、コットン75%・リネン25%の混紡糸とレーヨン95%・シルク5%とを撚糸した素材のニットは、「ホールガーメント(WHOLEGARMENT)」の技術により、ホリゾンタルに区分けされた各パート毎にギャザーが寄せられており、軽くシャリ感のある素材の風合いを上手に活かしたフェミニンなアイテムに仕上げられていた。留めボタンに貝ボタンを使用することで、より上品なイメージになるよう、細かな配慮が為されていたのが好印象であった。
4枚目写真の、コットン82%・ナイロン18%のニットカーディガンは、ビスコース100%の糸でインターシャ柄が施されているが、襟刳り部分は交易所で取扱われていた壺をイメージした柄なのだそうだ。ムラがありつつ透け感が楽しめる上品な印象を醸し出す極薄のベース素材と柄部分とのコントラストがユニークなアイテムとなっているのが印象的であった。尚、同一の生地でストールもあったが、こちらはより実用性の高いアイテムであると感じた(画像をみる)。
5枚目写真の、フレンチリネン50%・エジプトコットン50%の混紡糸のキャメルイエローのニットワンピースは、「ハンカチーフヘム」と称する四角いパターンが特徴で、両脇部分に余分に取られた生地が裾に掛けて垂れ下がることで独特のドレープが生まれるようになっている。インディアンラグをイメージした透かし柄と共に、全体として民族的なイメージに仕上げられていた。













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