ファショコン通信

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hatra1.8 展示会レポート

日時: 4月15日(火)~4月20日(金)
会場: gallery nomadica
「hatra」は毎シーズン特別なテーマは設定せず、布と身体の間を「部屋」と捉え、「着心地」ではなく「居心地」を大切に、すなわち、肉体的な心地良さよりもむしろ精神的な心地良さを重視し、身体と衣服の間にできる空間を特に意識して個々のアイテムのシルエットを生み出しているのだそうだ。
例えば、従来からの「吊パイル裏毛」を用いたパーカーでも今季から使用する編目の詰まった「ハード裏毛」を用いたパーカーでも、フードが通常よりも大きく作られている。いずれの素材も厚みと張りがあるので形状が安定した結果、首元の懐部分に大きくゆとりができたまま収まりが効くようになっている(「ハード裏毛」はより厚みと張りがあるので、形状安定の度合いは顕著である)。同様の空間は他の型違いのパーカーだけでなく、GraphersRock.のグラフィックを昇華転写プリントした合羽、ウールのダッフルコート、スーピマオックスを用いたシャツ等のフードにも取り入れられており、特に強いこだわりを持っているのが感じられた。
また、そういった主軸となるこだわりのほか、細かなディテールにも工夫を入れているのが特徴的である。例えば、パーカーのサイドシームを前にズラしたり、「サマーコール作務衣」と称するジャケットの前身頃のパッチポケットの角にステッチを入れて隅に物が詰まってしまわないようにしたり、シャツの胸ポケットの入り口の角をカットしてスマートフォンを入れた時に取り出しやすいようにしたり、最も汚れやすいシャツのカフ部分を短くしたり(画像はこちら)、ダッフルコートのフード部分にマグネットを付けて口元を止められるようにしたりする等、デザイン面での美しさや恰好良さを起点に、その上で使い勝手の良さ、すなわち、居心地の良さを意識した気配りがアイテムに表れているのである。
さらに、今季は水色を推しているのだそうだが、「ガラス色(glass)」と命名されたその色のバリエーションの出発点はコンビニのアイス入れのヘリにヒントを得たとしてみたり(画像はこちら)、亀甲模様をモチーフにした幾何学柄のジャカードアイテムの品名に玄武からとって「玄」と付けてみたり、GraphersRock.のグラフィックをジャカードで表現した生地を用いたフードだけのアイテムを作ってみたりする等、フットワークの軽い遊び心があるのも特徴であるといえる。
スウェットというキーアイテムを主に、「居心地」を意識したデザインを心掛け、ところどころにユーモアのセンスを織り交ぜる等、イメージ面での機軸を守りつつ適度に力の抜けたハイセンスなブランドであると感じた。
hatra1.8
ブランド情報
ハトラ(hatra)