ファショコン通信

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lessthan* 2006 S/S 展示会レポート

取材に至るまでの経緯

2005年11月7日から11月11日まで、東京・渋谷にて、レスザン(lessthan*)の 2006 S/S 展示会が催された。この展示会は、東京コレクション(日本ファッションウィーク)期間中に行われたものである。
筆者がこの展示会に訪れたのは、11月7日。今回は、日本ファッションウィークと銘打って、東京コレクションが新しくなる記念すべきシーズンであり、様々なブランドのショー及び展示会に足を運んでいるのであるが、そんな折、個人的に親しくしているUG氏がレスザンのショーを観に行き、とても好印象を受けたと言っていたのを耳にし、筆者はショーに訪れなかったがせめて展示会は観に行ってみよう、ということで、足を運んでみることにした。
このような展示会は通常、一般の人には公開されていない。そこで、レスザンのプレスの連絡先を調べて、ファッションサイト管理者が取材をさせていただくという名目で、メールにて事前にアポイントをとり、約束通り 7日 16:30 に会場に到着した。
会場は渋谷区神宮前にあるレスザンファクトリー。通常は店舗として利用されているスペースに、ショーで登場したアイテムが所狭しと展示してあった。
 例によって、今回も個々のアイテムを観ていき、気になったアイテムについて、個別に質問をしていくことにした。
以下では、筆者が個人的に気になったアイテムを紹介していきたいと思う。

ショーの様子

今回のショーのテーマは、「丸(maru)」。ショーで登場したアイテムは、基本的に広げると丸い形になるものばかりだそうで、展示会では、それらのアイテムが展示してあった。
例えば、右写真のトップスのブラックのシャツは、背中の左右の余った布部分を紐で結びつけるができるようになっており、結び目を解いて、観音開きの状態になった布部分を開くと、シャツが全体として丸い形になるのである。その際、両袖部分も含めて丸く見えるように、両袖も袖先にかけてカーブを描くようにパターンが引かれている。
また、スカートも胴回り部分を中心にして広げた時に丸くなるようにパターンが引かれている。さらに、裾部分に付けられたテープを用いて、たくし上げて着られるようにもなっており、とてもユニークなアイテムとなっている。
尚、右写真にプリントされている不思議なモチーフは「地蔵」と名づけられているそうで、レスザンのシンボルキャラクター的な存在にしていく予定だそうだ。
(アイテムの様子は右の写真の通り。画像をクリックすると拡大写真を表示します。)
アイテムの様子
また、今回発表されたアイテムの中で筆者が個人的に気になったのは、左写真でトップスとして着ているタンクトップである。このアイテムは、丸く象られた前の身頃の上部に三箇所、三角形の頂点となった部分に穴を開け、それぞれの穴に頭と両腕を通して着られるようになっており、これにより、前後の身頃に独特のドレープが生まれるようになっているのである。
尚、左写真のスカートは、上記の地蔵プリントのスカート同様、胴回り部分を中心にして広げた時に丸くなるようにパターンが引かれており、裾部分に付けられたテープを用いて、たくし上げて着られる仕様のものである。
タンクトップとスカートとで用いている生地を統一してあり、セパレーツでありながら、ドレープも含めて一体感のあるアイテムとなっているのが印象的であった。
(アイテムの様子は左の写真の通り。画像をクリックすると拡大写真を表示します。)
アイテムの様子
アイテムはレディースだけでなく、メンズもあった。もちろん、メンズのアイテムもレディースのものと同様、テーマは「丸」。ということで、やはり丸いアイテムが大半であった。
例えば、右写真のジャケットは、上記のシャツ同様、背中の左右の余った布部分をボタンで背中の左右身頃に固定できるようになっており、ボタンを外して、観音開きの状態になった布部分を開くと、ジャケットが全体として丸い形になるのである。
また、パンツも丸い水玉模様が施されており、テーマの流れを充分に反映させるアイテムとなっている。ちなみに、水玉部分はプリントではなく、別布をかがってある。
尚、インナーに着ているシャツは、上記に紹介したシャツと同じものである。地蔵プリントのリボンが愛らしい。
(アイテムの様子は右の写真の通り。画像をクリックすると拡大写真を表示します。)

取材を終えて

フィナーレの様子
上記 3点の他にも、ユニークなアイテムが沢山あったのであるが、前述の通り、紙面の都合上、敢えて割愛させていただくこととしたい。
展示会を訪れて、個人的に印象に残ったのは、プレスの方の「着心地の方には多少、目をつぶっていただいて‥‥」という言葉である。もちろん、着心地が全く良くない、ということではないのだが、「丸」というテーマに拘ると、形が特殊であるため、若干、着心地には目をつぶらなければならない点が出てきてしまう。そういった場合、敢えて着心地を追求することはせず、テーマとデザイン性に拘って押し切ってしまう、ということもあるようだ。
そういった割り切り具合が、個人的にはすがすがしく感じることができて、むしろ好感触であった。
また、ブランド名である「lessthan*」の「*」は、本当はアスタリスクではなく、五本の線で構成されたオリジナルのマークなのだそうで、そういった点には拘りを持っているようだ。
力を入れるところと抜くところを抑えていて、とてもユニークなブランドである。
ちなみに、ショーのフィナーレでは、1点目に紹介した「丸くなるシャツ」の様々なカラーバリエーションを、モデル全員が着用して登場したそうだ。なかなか面白い光景だったのだろうと想像されるところである。
ともあれ、適度に力の抜けた、ユニークな丸いアイテムをお探しの方には、2006 S/S のレスザンをお薦めします。
(フィナーレの様子は右の写真の通り。画像をクリックすると拡大写真を表示します。)