saisir 2012-2013 A/W 展示会レポート
日時: 7月20日(金)~7月21日(土)
会場: パル青山ビル 4F
女性らしいドレープラインが現れるフェミニンなパターン使いが特徴のセズィール。これまではドレープ感が美しく表現されるような素材使いが多かったが、今季はそれに加えて、形状記憶素材を用いる等、新たな試みを取り入れたコレクション。尚、昨季等はシーズンコンセプトを設定していたが、今季は特に設定しなかったのだそうだ。
例年、秋冬コレクションはアウターが人気とのことで、今回のコレクションもアウターがメイン。例えば、形状記憶素材であるポリエステル100%の生地を用いた総裏仕立てのトレンチケープコートは、パリッとした素材感を引き立たせつつ、前身頃上部から後ろ見頃上部に掛けてケープ状のパーツを設けたり、ウエスト部分をベルトで絞るして、全体としてフェミニンなイメージが保たれるように工夫されていた。また、被ると頭頂部に掛けて尖ったシルエットになる取り外し可能なフードが施された総裏仕立てのコクーンコートのシリーズは、ロング・ショートともにツイードのアイテムとブラックのアイテムが展開されていたが、前身頃と袖付け部分のパターンに工夫を凝らしたり、繭型の後ろ見頃を十字にパターン取りしながらシルエットを整えたり、包みスナップボタンを用いる等、ディテールに捻りを入れつつ、全体としてミニマムな印象に仕上げられていた。
他にも、見頃の布帛部分に直接取り付けられたニットカラーが特徴のブルゾンは、布帛部分からニット部分に掛けて施されているジップを開けても閉じても異なったニュアンスのシルエットが楽しめるようになっていたり、前身頃の胸部分にギャザーとねじれを施したギャザーリボンカットソードレスは、両ウエスト部分に穴を開けて前部にリボンを通して絞れるようになっていたり、襟部分にリボンをあしらったシャツドレスは、袖口をゴムで絞ることで袖を巻くって着られるようになっていたり、と、総じてシルエットを操ることで様々な着こなしができるように工夫されているアイテムが多く、「10年後も新鮮で色あせない物作り」というブランド理念が忠実に反映された、完成度が高いコレクションであると感じた。
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