ファショコン通信

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rooms 12 合同展示会レポート

展示会の様子

2006年2月13日から2月15日まで、東京・国立代々木競技場第一体育館にて、rooms 12 合同展示会が催された。この展示会は、連日 10:00 から 18:00 まで開催されていた。
rooms は、アッシュ・ペー・フランス株式会社が主催し、毎シーズン年 2回開催される、国内外の様々なブランドが出展する日本最大規模の合同展示会である。会場内は通常の展示スペースの他、企画毎に、Pregnant.、livingroom と 2つのコーナーが設けられていた。
通常ブースへの出展ブランドは A.2.O、acote、adela maria、ADESSO CLASSE、AMARILLICO/AKA、another important culture、AOI、AROS、ART、art ambiente/hirondelle、ARTIVERY、ATSUMARI、AUTOMATIC LOVER、AVEC、AZOTH、Babette、babyroo、BAG CRAFT MASTER SCHOOL、Bejoueld、bonboog、breach、BRONX、Bunka Fashion Business School、BURN’N’VIOLET、Calen Blosso、caqu、Caravana by A・I・C、CERASUS、CICHIARO nero、Clarks ORIGINALS、click pebble 、C’omodo +plust、continental blue、copano、Coquette、COUVRIR、creation A.H.R、CRUDE ARTICLES、DAMIANNE HALUME、date、DAYS BASIC、DEADMAN、dico kick、divertire、DON’T TRY、draws、DUDE DO、e.m.、ecru par l’ecrit、ENA、Enoc Douter、eshet chayil、ESSAYAGE、EXCENTRIQUE、fabrique en planete terre、FALUCI、fianco isola、.Fuller、gargoyle、gm/mt、guff design lab、h/c kawabata、HANAMUGURI、HEyiNRHEyiM、hiiyna、Hijira、himie、HIROKO SUZUKI、HISUI、HORIZONTAL、iaponia、immer rund、intoca.、io、io yukomura”Ta、ITSUKO、JACK HENRY、KAI、kawa-kawa、kay、KI・A・RA、Kinoko、KLASICA、la mia idea、LITTLE RAMOND、LYRE、M2 Plus、mado、MAGLIERIA.HIRO、mami、marchercher、Margo、MARQUISE*PEAR SHAPE、meli melo de mission、mettre、mettre en code、Mille、murder pollen、MUSTANG RANCH、Nieve、NUNO WORKS、nutslly、ORBiTer、OTA、OTO、panthalassa You、pasqua、Peach Bloom、Pelleterno、PICK a BORN、polarity、Portata di mano、Portierra、pub、PUT ON、Q-pot.、Rajyu Lab、Raphus cucu、rever en h.、Rey Ouchi、rimple、rio flash、Roman、ROSA RUGA、Ruby and Cake etc…、RUSTY THOUGHT、Sa*Ya、S’adoucir、S C F、seesaw、Selfish Juliet、selvedge.、sen、SHINYA、SI-HIRAI、Si-Si-Si、SPACE CRAFT、stof、stop over、stopover firstclass、SUCH A LOVELY DRESS、SUGAR ROSE、T.L.C(Tokyo Local Creative)、TANGO、TAROU、TEI*JOHJIMA 、Think Bee!、TORQUATA、TOUAREG、toucher、Tramando、TRANSPYRAL、trick world and spiral Question、TSURU by MARIKO OIKAWA、TUKI、UNA ARTESANO ALMA、uno piu uno、VAD&MEL、Vanilla Garden、wagamama mishin、WELWITSCHIA、WHIMTRIUM、YAHAGI TAKEHIRO、YAMATO TOKOROTANI、yanase rei、Yoko laboratory、YUKS、yum. の計 168 ブランドである。
Pregnant. は南貴之氏がプロデュースする、気鋭の東京モードブランドが出展するコーナーであり、出展ブランドは Archiv、BLAH BLAH BLAH、Garden of Eden、gilet、HORACE、INDUSTRIAL CATEGORY、JOHN LAWRENCE SULLIVAN、LORINZA、MARTIN ANDERSSON、MARY MAGDALENE、PUBLIC IMAGE、-satta、soe、THE C、yoshio kubo の計 15ブランドである。
livingroom はフランス婦人プレタポルテ連盟(FFPAPF)とのコラボレーションによる、フランスを中心とした海外ブランドが出展するコーナーであり、出展ブランドは ART WEAR DIMITRIADIS 、COMBHARD、CORINNE COBSON 、FIRMA Berlin 、GASPARD YURKIEVICH 、HANNOH-H+、HUMANEST、KARINE ARABIAN、LA TRIBU DES OISEAUX、LEA CLEMENT、MARION CARSTEN 、MARTUCCI ROMA 、MOVIMENTTO ACCESSORIES、MY JOK、NADINE DELEPINE、OPIFIX 、PAPAGENA、RAGINA REGIS RAIN、YAO SOUKA、PIERRE-HENRI MATTOUT の計 20ブランドである。
また、ショールームであるDestination N.Y. に、Andrea Brueckner、B-Zen、Earnest Sewn、Fil D’araignee、Hudson、Indie、Leoworks、Melanie Dizon、Miwako Kimura、P.Y.T.、Robert Moy、Serfontaine の計 12ブランドが出展されていた。
筆者がこの合同展示会に訪れたのは、2月15日。このような合同展示会は通常、一般の人には公開されていない。そこで、ファッションサイト管理者が取材をさせていただくという名目で、メールにて事前にアポイントをとり、会場に足を踏み入れてみることにした。
そして、例によって、今回も各ブランドのアイテムを観ていき、特に気になったブランドに、個別に取材交渉をしていくことにした。
以下では、筆者が個人的に気になったブランドを紹介していきたいと思う。

気になったブランド

アイテムの様子
wagamama mishin(ワガママミシン)は日本のレディースウェアブランド。デザイナーは吉田尚。
吉田尚は、東京都立大学工学部、東京学芸大学教育学部を中退後、2000年にエスモード・ジャポンに入学。サン・キャトリーヌ祭(帽子の祭)に入賞。卒業後、某企業に 1年間デザイナーとして勤務した後、退社。2004から1年間、ミントデザインズでインターン勤務を経て、2005年3月に「wagamama mishin(ワガママミシン)」を設立し、活動を開始。本格デビューは 2006-2007 A/W から。
ブランド名の由来はファッションの持つ自由性を表現。「着たいものを着る→ワガママ」、「『着た人が幸せな気持ちになれる服を作りたい」』いうデザイナー自身の願望→ワガママ」、「服作りに欠かせないもの生地、糸、ハサミ、ミシン、パターンetc色々とありますが、響きが気に入ったので…ミシン」、「ワガママ + ミシン = ワガママミシン」だそうだ。
このブランドは、オリジナルの生地、プリントにこだわって服作りを心掛けているそうだ。付属のボタンはナットと呼ばれる木の実を原料として、地球や肌に優しいものを使用し、織ネーム(ネームプレート)もアルミ素材に樹脂加工を施したアルミプレートになっていて、肌あたりも良く、洗っても錆びない等、ディテールのデザインにも力を入れている。
アイテムの様子
一応、毎回テーマのようなものを漠然と設けているそうで、今回のテーマは「ウニっぽいもの」だそうだ。左写真はそのウニをモチーフとしたものを、顔料で播州織りの綿生地にプリントしたジャケットと巻きスカートである。ポケットの内布がジャケットの裾から見え、ユニークなデザインとなっている。
その他、織調を変えて市松模様が施された生地に顔料でドットのボーダーをプリントしたセーラーカラーのシャツ(画像をみる)や、屋外店舗の日差避けやバッグ、ヨットの帆等に使われるサンブレラ(sunbrella)という撥水性の高い生地に前述のナットのボタンをあしらった、張りのある素材感が印象的なノーカラーでダブルのジャケット(画像をみる)等、ユニークで可愛らしいデザインのアイテムが多く、筆者の個人的な好みに合っていて、好印象であった。
ただ、心なしか、ミントデザインズのデザインとイメージが重なる部分が無きにしも非ず、といった印象を受けるので、その辺りを払拭し、どのようにしてオリジナリティのあるデザインを確立していくか、今後がとても楽しみなブランドである。
(アイテムの様子は左右の写真の通り。画像をクリックすると拡大写真を表示します。)
アイテムの様子
SPACE CRAFT 日本のシューズブランド。デザイナーは金井仁(Hitoshi KANAI)。
金井仁は、99年に靴の専門学校卒業後、靴メーカー・婦人靴の企画を経て、2005年に紳士靴メーカーのバックアップにより「SPACE CRAFT(スペースクラフト)」を開始。
ブランド名は、生産工場の限られた「SPACE(空間)」での「CRAFT(技術)」によって生まれた商品が「SPACE(宇宙 = 無限大)」に発展(広がる)していくことを願って命名したのだそうだ。
このブランドは、「クラシック & モダン」をコンセプトとしており、クラシックなデザインの中にほんの少しモダンさ、即ち遊びを入れたデザインが印象的である。
例えば、右写真は 生産時にラスト(木型)を使用しないことにより、独特なシルエットに仕上がっている、クラシックのバレエシューズをイメージしたレザーシューズは、ヌバックを使い独特の素材感を出しつつ、シューレースをコーヒーで染色する等、ユニークなアイテムとなっている。
(アイテムの様子は右の写真の通り。画像をクリックすると拡大写真を表示します。)
その他、暴れ馬の尻尾をイメージしたという踵に伸びたテープ、独特な Wチップ、オイルステア×オイルヌメ×キップレザーの素材使い等が特徴的なジップアップブーツ(画像をみる)や、1950年代のアメリカ製ブーツにインスパイアされた、筒部分が手編メッシュになっており、オイルヌメ部分とのコントラストが印象的なレースアップブーツ(画像をみる)等、オリジナリティのある遊びが入りつつ、機能的なレザーシューズが多く、完成度の高さを印象付けられた。

取材を終えて

会場内の様子
国内でも有名なブランドが集まっているので、来訪者が多く、活気があって充分に楽しめる合同展示会であると感じた。
また、会場内において様々な企画や催し等がブランド毎の展示会と並行して開催されているので、業界人のモード感をくすぐる構成となっている点も好印象である。
尚、roomsへの来場は招待状が必要であり、招待状の申込はrooms の公式サイトで行える。但し、rooms は一般の方は来場不可となっているので、招待状の申込の際はご注意いただきたい。(終わり)
(会場内の様子は右の写真の通り。画像をクリックすると拡大写真を表示します。)