ファショコン通信

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iliann loeb 2008-2009 A/W 展示会レポート

日時: 4月15日(火)~ 4月18日(金)
会場: エレガンテ・ヴィータ・ナコラ(Elegante Vita NACORA)
今季のイリアンローヴのテーマは「ザ・シティ・オブ・ロスト・チルドレン(The City of Lost Children)」。フランス映画であるロスト・チルドレン(The City of Lost Childrenの舞台となっているレトロで近未来的な暗い世界観や、ヒロインの少女の女性像をイメージしたコレクションなのだそうだ。また、全体的に、ベルト等を用いる等、ミリタリーの雰囲気が感じられるアイテムも多く展開しているのだそうだ。ちなみに、同映画の衣装はジャン・ポール・ゴルチエ(Jean-Paul GAULTIER)が手掛けた。(尚、会期中の会場は2008 S/Sと同じエレガンテ・ヴィータ・ナコラであったが、筆者は上記の会期外の4月30日に、プレスルームにて商品を拝見した。)
例えば、1枚目写真や2枚目写真の、ウール70%・ミンク20%・ナイロン10%のワンピースは、「ホールガーメント(WHOLEGARMENT)」の技術により縦横に分量感を持たせた感じやタックや着脱可能のベルトで分量感を持たせた感じが、どことなくアンニュイな少女を連想させるものとなっている。また、腰部分にベルトを通せる穴を設けてある点や、ポケットの内袋を敢えて外に出すディテールになっているのもユニークである。
3枚目写真の、ジーロング・ラム・ウール90%・カシミア10%のKNOLL社製の素材を用いたニットブルゾンは、手編みで鱗のような立体感を持たせつつ(画像をみる)、見た目と異なり非常に軽く仕上がっているのが特徴的である。こちらも、ベルトを通すことでシルエットに変化を生ませられるような仕様の上、フードも着脱可能で、遊び心に溢れているアイテムであると感じた。
4枚目写真の、ファインメリノウール100%のニットストールは、ラッセル編み機で編み上げたオリジナルのチェック柄素材であるが、多色使いの複雑な柄のダブルラッセルは、現在は日本でしか出来ない技術なのだそうだ。このアイテムは、腕を通せるようになっている箇所が設けられていたり、フードが着脱可能(画像をみる)であったりしていることと相俟って、巻き方によっては数通りのシルエットを楽しめるようになっているのが特徴で、ユニーク且つ便利なアイテムであると感じた(画像をみる)。
その他にも、スパンコールが散りばめられたジャケット(画像をみる)や顔料プリントが施されたワンピース等(画像をみる)、高い技術に適度な遊びを交えたオリジナリティ溢れるニットウェアが多く発表されており、完成度の高さを改めて印象付けられた展示会であった。
また、今回はパリのトラノイ(tranoi)に参加した「il by Saori Komatsu」のアイテムも展示されていた。こちらは、全てホールガーメントの技法を用いたニットウェアを展開しており、今季はスポーティなイメージのアイテムを揃えたのだそうだが、イリアンローヴに比べ、より高品質ながらもシンプルなアイテムが多い印象であった。同展示会場に来た海外のバイヤー等も、独特のシルエットやディテールに非常に興味を示していたようで、まずは上々の滑り出しであったということを、筆者も大変嬉しく思った。













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