ファショコン通信

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ISABELLE BALLU 2006 S/S コレクションレポート

取材に至るまでの経緯

2005年10月3日、パリの 2, place Baudoyer(パリ4区役所)にて、イザベル・バリュ(ISABELLE BALLU)の 2006 S/S ショーが催された。このショーは、プレタポルテ・コレクション期間中に公式参加ブランド(ON)として行われたものである。
今回、筆者はパリコレクション期間中にパリに滞在する機会に恵まれ、さらに、当サイトを通じてお知り合いになり、現地でも何かとお世話になったさぼてんさんのお力添えもあって、ショーに招待していただき、おまけに記事も書かせていただけることになった。
会場はパリ4区役所内の建物の 2階にあり、13:30 からの開催が予定されていた。ショー開始より少し早めに会場に到着したところ、会場では美しい女性がドライフルーツでできた飾り物やお土産のチョコレート、さらにシャンパンまで振舞っており、さながらパーティー会場のようになっていて、気分が昂ぶってくるのを感じた。
ドライフルーツをいくつか口に入れつつ、席に着き、会場を見回してみると、同じようにドライフルーツを頬張りつつ、配布された資料を斜め読みする人や、足しげく知り合いに挨拶するジャーナリストらしき人、シャンパンを片手にパートナーと談笑する人等、様々な時間の過ごし方をしている人々がいることに気が付く。ショー開始が遅れることは日常茶飯事で、時間通りに始まることなどあり得ないことは来訪者全員が百も承知で、皆、余裕綽々、といった様子である。
結局、例によって 予定より30分以上遅れてのショー開始となったが、お菓子やシャンパンが配られていたこともあって、開始を待っている間、時間を持て余すということもあまりなかった。

ショーの様子

カバーオールの様子
今回のショーのテーマは、「フェミニン・ダイナミック(FÉMININE DYNAMIC)」。フェミニンなシルエットに、ファッション感度が高く力強い、スポーティで理想的な大人の女性をイメージさせるという、大いなる大望を反映させたのだそうだ。
今季のアイテムの傾向としては、淡いレッドやスカイブルー、明るいイエロー等のパステルカラーを用い、女性らしいエレガントさやセクシーさの中にも、活動的でスポーティなイメージが加えられたものが主流であるように感じた。
例えば、右の写真のようなイエローのカバーオールは、カバーオールというスポーティなアイテムに、敢えて高いピンヒールを合わせ、さらにジッパー部分を大きく開けることでフェミニンさを加味させているのである。
(カバーオールの様子は右の写真の通り。画像をクリックすると拡大写真を表示します。)
スイムウェアの様子
また、イザベルバリュのショーではいつもスイムウェアの発表も行われる。
今回のショーでは、ツーピースやワンピースのスイムウェアに、ビキニ柄のトロンプルイユを施す、というものが多く登場した。例えば、ツーピースのスイムウェアの地色は濃いブラウンを用い、そこにピンクのビキニ柄のトロンプルイユを施したり、ホワイトのワンピースのスイムウェアに、部分濃いブラウンを用いたビキニのショーツの柄のトロンプルイユを施したりして、肌を露出しているかのような幻覚を生じさせる、といったものである。
ビキニ柄のトロンプルイユの両腰には、ビキニの蝶結び部分も取り付けられており、ユーモラス溢れるディテールの拘りが好印象であった。
(スイムウェアの様子は左の写真の通り。画像をクリックすると拡大写真を表示します。)

取材を終えて

ショーの様子
イザベルバリュの服作りは、クリエイティブであるというよりも、比較的日常的に着やすいデザインのものが多いように感じた。それほど捻りを加えるということはせず、リアルな中に少しユーモアを交えるといった手法に親近感を覚えやすいブランドである、といえるのではないだろうか。
また、このブランドは生地にも非常に力を入れているらしく、合同展示会「RENDEZ-VOUS」にて実物を拝見させていただいた時は、そのクオリティの高さに大いに感心したことを覚えている。スーツやドレス、シャツ等のアイテムは全て上質な日常着として用いるのには申し分のない素材感と肌触りで、且つ、堅実に造られており丈夫であるように感じた。
ともあれ、軽いユーモアに上質さとエレガントさの加味された大人の女性の服をお探しの方には、2006 S/S のイザベルバリュをお薦めします。
(ショーの様子は右の写真の通り。画像をクリックすると拡大写真を表示します。)